長屋門は近世の表門の形式の一つで、両袖に物置や使用人などの住居が配置されます。この屋敷の長屋門にも両袖に部屋が配置されており、向かって左側を離れとして残し、右側を事務室などに利用しています。
中央部の門扉は、乳頭金具付き開戸となっており、欅の一枚板でつくられています。建設当初のものは傷みが激しかったため新たにつくられましたが、復元当時(2004年)にはこれだけの大径木の欅材は入手困難であり、大変苦労の末に探し当てたといわれています。柱はブラジル産のアサメラという樹種を使いました。
長屋門を抜けると、白砂の庭が広がり、正面に母屋と蔵、左手の中門をくぐって主庭に導かれます。主庭には枯山水が配されて、梅、つつじ、楓が四季を彩ります。